0|実験ログ:仮説を早く出すための仕組みを作った 業務効率化のプロジェクトに入る前に、毎回ひとつ気になっていたことがあった。
AI実務ログ:AIに違和感を解消させようとして、別のAIに聞いたら迷走した理由
0|実験ログ:違和感を確かめようとしただけだった
あるクライアントのビジネスコンセプトについて、
企画書の構成案をAIと一緒に検討していた。
特定の顧客像を起点に、
行動や感情の流れから構成を組み立てる。
方向性としては、すでに一案できていた。
論理的には成立している。
説明も通る。
ただ、どこか引っかかる感覚があった。
言葉にはできないが、何かが違う。
その違和感を確かめるために、
別のAIに同じ内容を投げた。
すると、最初の案とは少し違う整理が返ってきた。
さらに別のAIにも聞いた。
今度は、また別の整理が提示された。
複数の案が並んだ。
どれも同じように見える。
顧客の感情変化を扱い、
状態の変化を軸に構成されている。
しかし、読み進めると違和感があった。
ある案は、ある瞬間の心理トリガーを強く切り取っている。
別の案は、時間の流れの中での変化を重視している。
また別の案は、状態の定義そのものが微妙に違っていた。
同じ構造に見えるが、
見ているポイントが少しずつずれている。
一見すると違いは分からない。
しかし、真剣に読むと、
主張が違っていることだけは分かる。
違いはある。
ただ、それを言葉にするのに時間がかかる。
整理するために、
それぞれのAIに前提を出させた。
どのような解釈で、
この構成になっているのか。
返ってきた内容は整っていた。
論理は明確で、
それぞれの案が成立する理由も説明できた。
それでも、
どれを採用すべきかは決まらなかった。
1|どれも正しいのに、選べない
違いはある。
しかし、その違いを特定するのに時間がかかる。
比較はできる。
説明もできる。
それでも、
どれを選ぶかだけが決まらない。
ここで初めて気づいた。
判断が止まっている原因は、
選択肢が多いことではなかった。
“違いを処理する負荷”そのものが、判断を止めていた。

2|判断が「選択」から「解析」に変わる
最初は、単純な違和感だった。
それを確かめるために、外部視点を入れた。
すると、判断は次の段階に移った。
正しいかどうかを選ぶ段階から、
前提の違いを理解する段階へ。
さらにそこから、
微細なズレを読み取る段階へ。
問題は、この最後の段階だった。
ズレは存在するが、
一読では判別できない。
精読すれば分かる。
しかし、その分コストがかかる。
視点を増やしたことで、
判断は“すぐに選べるもの”ではなく、
時間をかけて読み解く必要のある解析作業に変質していた。
しかもその作業は、
AIに任せることができない。
最終的には、
人間が一つひとつの違いを読み取り、
意味を解釈しなければ判断できない。
3|外部視点が判断を止めるとき
外部視点は、判断を助けるとは限らない。
むしろ、
判断対象が「選択」である限りは有効だが、
「差分の解析」に変わった瞬間に、負荷を増幅させる。
今回起きていたのは、
選択肢が増えたことではない。
精度が上がったことでもない。
判断の性質そのものが変わっていたことだった。
違和感を解消するための行為が、
判断のレイヤーを引き上げてしまう。
その結果、
処理できないレベルの比較が発生し、
判断が止まる。
違和感があるとき、
人は情報が足りないと考え、外に答えを求める。
しかし今回起きていたのは、
違和感の中身が分からないまま、
そのまま外に問いを投げていた状態だった。
結果として、
情報だけが増え、判断は進まなかった。
振り返ると、
外に答えを求めるよりも前に、
その違和感が何なのかを言葉にしようとする方が、
早かったのかもしれない。