AI実務設計ログ

AI実務設計ログ#整理はいつ発動すべきか― LPキャッチコピー迷走実験ログ ―

作成者: 椎名真弓|Feb 27, 2026 5:12:15 AM

0|迷走しやすい業務は何か

マーケティング業務でAIを使っていると、
うまくいっているようで、前に進んでいない瞬間がある。

ペルソナを細分化しすぎるとき。
競合分析を広げすぎるとき。
アイデアが増えすぎて決められないとき。

いくつかあるが、
私が真っ先に思い浮かべたのは LPのキャッチコピー制作 だった。

なぜか。

いまでも、やってしまうからだ。

「今度こそ良いコピーが出るのではないか」と思い、
再生成ボタンを押してしまう自分が、まだいる。

だから今回は、あえて迷走を再現し、
どこで #整理 を発動すべきだったのかを検証してみることにした。

 

 

1|実験設計:あえて歪ませる

テーマは、

行動できない人向けマインドセミナーのキャッチコピー。

そして今回は、あえて
ビジネス系の問題解決型コピーで知られる神田昌典氏になりきらせる
という設定を入れてみた。

マインド系のテーマに、ロジック型コピーライターをぶつける。

少し歪んだ組み合わせだ。

だが、それが狙いでもあった。

私はBtoB領域が専門で、このテーマに対する評価軸が強くない。
評価軸が曖昧なとき、人は「強い型」に寄りかかる。

その状態を、あえて再現してみた。

 

2|実験A:迷走はこう始まる

最初の出力は悪くなかった。

それっぽい。
整っている。

だが、刺さらない。

ここから軸が増えていく。

 

「もっと寄り添ってほしい」

「もう少し内面に寄り添う方向に」

安心感を足したくなる。

 

 

でも動機が弱い

「安心感は残しつつ、“このままではいけない”も入れて」

寄り添いと危機。
軸が二つになる。

 

 

神田領域に入っていない

そして私は言った。

「ぜんぜん神田領域に入っているように見えません。このコピー自体がズレている気がします」

ここで空気が変わった。

 

 

3|転換点

本来の目的は

「参加したくなるコピーを作ること」

だったはずだ。

だがこの頃には、

  • 神田らしさはあるか
  • 神田構文に入っているか
  • 神田性は足りているか

を評価していた。

気づけば、
コピーではなく「神田らしさ」を作るゲームになっていた。

集客の話は、どこかに消えていた。

 

 

4|迷走の正体

今回の迷走で起きていたこと。

① 手段と目的の入れ替わり

神田は手段だった。
だが、いつの間にか目的になっていた。

 

② 評価軸の不在

「なんか違う」と言いながら、
何が違うのかは言語化できていなかった。

評価軸を持たないまま生成を続けていた。

 

③ 「もっと」の増殖

  • もっと優しく
  • もっと危機感を
  • もっと核心を
  • もっと神田的に

いま振り返ると、
判断を先送りしていただけだった。

 

 

5|本来 #整理 はどこだったか

あの瞬間。

「神田領域に入っていない」と言ったとき。

本当は、そこで止めるべきだった。

出力を変えるのではなく、
問いを変えるべきだった。

 

 

6|実験B:#整理を発動する

生成を止め、問い直した。

  • 今回の目的は何か
  • 神田らしさは本当に必要か
  • 優先順位は何か
  • 切り捨てる軸は何か

見えてきたのは、

必要なのは文体ではなく、
行動しない状態を維持できなくする心理設計だったということ。

神田は機能であって、人格ではない。

 

 

7|迷走のサイン

今回見えたサイン。

  • 目的より手段の話をしている
  • 「もっと」と言い始めている
  • 違和感を言語化できない
  • 文体の正しさを評価し始めている

どれかが出たら、
生成を止めた方がいい。

 

 

8|#整理はいつ発動すべきか

違和感を言語化できない時点。

ズレきってからではなく、
ズレ始めたとき。

#整理は後始末ではなく、
迷走を深めないためのブレーキだ。

 

 

9|時間の話

AIは疲れない。

だが、人間の時間は有限だ。

再生成ボタンは、判断を代行してくれない。

評価軸を持たないまま生成を続けると、
削られるのは能力ではなく、時間だ。

 

10|暫定まとめ

迷走は能力の問題ではない。

設計の問題だ。

そして #整理 は、
迷走してから使うものではなく、
迷走しそうなときに使うものだと思う。

 

付録|実験ログ全文

(全文リンク)