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難しいのはコードじゃなかったーーAI検索対策のFAQスキーマを入れて気がついたこと
はじめに——SNSで見かけた「コスパ最強」の話
AI検索に引用されたいなら、FAQを構造化データで入れておくといい。コストもかからず、自社で簡単にできるので効果的だ——AI検索対策を発信している人の投稿で、そういう話を見かけた。
手順を見る限り、内容はシンプルで、専門家でなくてもできそうだ。素人が個人のサイトでも気軽に試せるものか、ちょっとやってみたくなった。個人レベルですぐにできる施策で、それが有効なら試さない手はないからだ。
だから自分でやってみた。これはその一次記録で、n=1の観察だ。うまくいった話でも、失敗した話でもない。まだ途中の話だと先に断っておく。
貼る作業そのものは、拍子抜けするほど簡単だった
自分がAI Alchemy Labの発信で使っているのは、無料版のHubSpotだ。無料版なので、対応しているかが気になったが、設定画面で簡単に操作できた。設定詳細にある「追加のコードスニペット」に、コードを貼り付けるだけだ。使っているツールがHubSpotでなくても、WordPressなどたいていのCMSには、ページの<head>にコードを入れる機能やプラグインがあるはずなので、置き場所さえ見つかれば話は同じだと思う。
肝心のコード(FAQPageのJSON-LDというもの)は、生成AIに作ってもらった。記事にすでに書いてあった内容を、質問と答えの形に組み直しただけで、新しい情報は足していない。本文はいじらず、末尾に読者にも見える形でFAQを置き、同じ内容を裏側のコードにも書いた。表と裏で言っていることを完全に揃える、というのだけ気をつけた。
初めてだったが、ここまでで30分ほど。専門家が「簡単にできる」と言うものは、いざ自分でやると簡単じゃなかった、という経験のほうが私には多い。でも今回に関しては、本当に拍子抜けするほど簡単だった。

ちょっとだけ詰まったのは、「確認する」ところ
貼り終えて、ちゃんと入ったかを確認する。手順記事の多くは「Googleのリッチリザルトテストで検証できる」と書いている。素直にそれで確かめようとした。
ところが、FAQが表示されない。テスト結果には「記事(Articles)」という別の項目が問題なしと出るだけで、肝心のFAQがどこにも出てこない。
調べていくうちに思い当たった。GoogleはFAQの表示機能そのものを2026年5月に取りやめている。だからテストツールも、もうFAQを表示しなくなっていた。私の貼り方が間違っていたのではなく、確認する道具のほうが「FAQはもう見せません」という状態になっていた、ということらしい。別の検証ツール(schema.orgのバリデータ)に切り替えたら、今度はきちんとFAQが認識され、4つの質問も、エラーも警告もなく表示された。ここでようやく、正しく入っていたと確認できた。
手順記事が「リッチリザルトテストで確認しよう」と書いている、まさにその一歩で少しつまずいた。手順が悪いというより、その手順が書かれた後に、Google側の仕様が変わってしまったのだと思う。とはいえ、ここも大した手間ではない。
一番時間を使ったのは、貼る作業ではなかった
正直に言うと、貼る作業も確認も、合わせて大した時間はかかっていない。この実験で圧倒的に時間を使ったのは、別のところだった。FAQに「どんな問いを書くか」と「それにどう答えるか」を決める作業だ。
FAQは、ただ思いつく質問を並べればいいわけではない。AIに引用されることを狙うなら、実際に誰かがAIに投げそうな問いの形になっていること、そしてその問いに対して、記事がすでに自分だけの答え(一次情報)を持っていること、この二つがそろっている必要がある。
私の場合、FAQをつける記事はもう書き上がっていた。だから「この記事は、どんな問いになら、他にはない答えを返せるか」を記事の中身から探し、その問いをFAQの質問として立て直した。記事が先にあって、そこから問いを逆引きした、という順番だ。
ただ、ここまで書いていて気づいたことがある。この逆向きの手順は、たぶん本来あるべき順番ではない。
本来は、記事を書く前に、「客はどんな問いを立てるか」「その問いに自分だけが答えられる一次情報を持っているか」を先に考え、そのマッチングが取れてから記事の構成に入り、執筆する——これが正しい順番のはずだ。問いが先で、記事が後。今回の私は、すでにある記事に後からFAQをつけるという実験だったので、順番が逆になった。
とはいえ、すでにある記事でも、問いと一次情報がちゃんとマッチしているものなら、後からFAQをつける価値はあると思う。今回も、手当たり次第に記事を選んだわけではなく、「この記事は固有の問いに一次情報で答えられているか」という観点で被験体を選んだ。だから、これから新しく書く人は問いを先に決めておくのがいいし、すでに記事を持っている人は、その中から問いと答えがかみ合っているものを選んでFAQをつける、という順番になるのだと思う。
貼るのは30分。問いと答えの設計は、それよりずっと長くかかった。しかもこの設計の難しさは、非エンジニアだから難しい、という種類のものではなかった。コードを貼る部分は、たしかに「非エンジニアでも簡単にできる」で合っている。でも、どんな問いを立て、それに一次情報で答えられるかを見極める部分は、エンジニアかどうかとは関係なく、誰がやっても頭を使う。ここが、やってみて一番の発見だった。
AI検索に引用されるようになったのか——それはまだ分からない
ここが正直なところだ。
入れることはできた。正しく入っていることも確認できた。では、この記事がAI検索に引用されるようになったのか。まだ分からない。
入れたばかりで、AI側がこのページを読み直すまでには時間がかかる。数日から一、二週間はかかると見ている。だから今の時点で「引用が増えた/増えなかった」を言うのは早すぎる。測っていないことを、測ったふりで書くわけにはいかない。
もともとこの記事は、AI検索でまったく引用されていない状態だった。そこにFAQのスキーマを足したら何か変わるのか。変わらないかもしれない、と個人的には少し思っている。ただそれは予想であって、結果ではない。
「FAQ構造化はコスパ最強」という声に対して、今の私が言えるのは、こうだ。入れること自体のコストは、たしかに低かった。少なくとも私にとっては。ただ、それで引用が動くかどうかは、これから自分の記事で確かめる。具体的には、しばらく間を置いてから、同じ問いをAI検索に投げ直して、この記事が引用されるかどうかを見るつもりだ。効いたかどうかを言えるようになったら、また書く。
入れた。確認できた。効いたかは、これから。——今回はそこまでの記録だ。
これは本編の連載とは少し離れた、寄り道の実験記録だ。結果が出たら、この続きをまた書く。