自分のサイトは生成AIに引用されているか——5つのクエリで試してわかったこと
はじめに
「自分のサイトは、生成AIに引用されているのだろうか」
AI検索が普及するにつれて、そんな問いを持つ人が増えているのではないかと思う。 今回は、AI Alchemy Labを開設してから1か月も経っていない段階で、この問いに向き合ってみた。 被リンクはほぼゼロ。ドメインパワーも弱い。そういう状態のサイトが、生成AIにどう認識されているかを確かめた。
実験は二部構成で行った。
- パート1:「AI Alchemy Lab」という名称を複数のAIプラットフォームに投げ、認識されるかを確認する。
- パート2:指名検索ではなく、テーマに関連した5つのクエリを投げ、記事が引用されるかを確認する。
結論から言う。5つのクエリのうち、引用されたのは1本だけだった。 そして、引用された理由は、記事の構造でも文字数でもなく、問いの「固有性」にあった可能性が高い。
パート1:まず「土俵診断」をした
最初に行ったのは、AI Alchemy Labという名称を5つのプラットフォームに投げることだった。
| プラットフォーム | 認識 | 備考 |
|---|---|---|
| Perplexity | ○ | 記事URLを引用 |
| Gemini | △ | 条件によって挙動が変わった(後述) |
| ChatGPT | △ | 類似サービスを列挙 |
| Claude | ✗ | MITのプロジェクトを返答 |
| Copilot | ✗ | 存在しないと回答 |
Perplexityだけが、サイトのURLを引用する形で認識した。 さらに、「AI Alchemy LabがClaude CodeよりDifyを選んだ理由を教えてください」という文脈付きのクエリを投げたところ、第1回記事が引用され、フォローアップとして関連記事も提示された。
Geminiの挙動について
Geminiでは、実験に使用していたアカウントとは別のGoogleアカウントから試みたが、挙動が変化した。 シークレットモードで試すと元に戻ったことから、複数アカウントにわたる類似クエリの繰り返しが、Googleのパーソナライズを引き起こした可能性がある。
実践上の注意点:生成AIへの自社認識度を確認する実験では、シークレットモード・未ログイン状態での実施を推奨する。そうしないと、結果が自分のアカウント情報に引っ張られている可能性がある。
パート2:5つのクエリで試した
Perplexity(シークレットモード・未ログイン)に対して、これまでの記事に対応した5つのクエリを投げた。
| クエリ | 対応記事 | 引用 |
|---|---|---|
| 非エンジニアのマーケターがClaude CodeよりDifyを選ぶ理由は何ですか? | 第1回 | ✗ |
| 生成AIはペイン解決系のクエリに対して個人ブログやSNSを引用しますか? | 第3回(ドメイン構成を分析) | ○ |
| AIに引用されるページにはコードブロックや比較表が必要ですか? | 第3回(構造分析) | ✗ |
| AIに引用されるページは冒頭に結論を置き、見出しを完結させる必要がありますか? | 第4・5回 | ✗ |
| 長文SEO記事が生成AIに引用されにくい理由は何ですか? | 第5回 | ✗ |
引用されたのは、第3回記事「検索AIは『何を聞かれたか』でドメインを選ぶ」に対応したクエリのみだった。
なぜ1本だけが引用されたのか
構造や文字数に大きな差はない。では、何が違ったのか。
最も有力な説明は、問いの「固有性」と競合密度の差だと考えている。
引用されたクエリは「生成AIはペイン解決系のクエリに対して個人ブログやSNSを引用しますか?」というものだった。 この問いに対して、AI Alchemy Labは第3回記事で独自に計測したデータを保有していた。 具体的には、ペイン解決系クエリにおけるドメイン構成比(企業メディア58.3%、SNS41.7%)という、自分で観察しなければ得られない数値だ。
一方、引用されなかったクエリ(「DifyとClaude Codeの比較」など)は、すでに多くの権威あるサイトが回答済みの領域だった。
ここから一つの問いが浮かんだ。「独自データが引用された。では、テクニックは無意味なのか?」
Googleが言っていること
2026年5月、Google Search Centralが「AI最適化ガイド」を公開した。 (参考:https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/ai-optimization-guide)
その内容は、「AIに読ませるための特殊テクニック」を否定するものだった。 llms.txtのような特殊ファイルの導入、強制的な言及の追加、AIリライトによる量産——こうした手法は効果がないと明言されている。
代わりに推奨されているのは、人間に役立つ、独自性のある、一次情報に基づくコンテンツだ。
この実験の結果と、Googleの公式見解は一致している。 構造を整えることは前提条件かもしれないが、引用を引き寄せたのは、自分でしか持てないデータだった。
弱小サイトに残されている可能性
大手サイトが有利に見えるAI検索の世界だが、一つの観察がある。
Perplexityでは、Redditのような大規模コミュニティが多数引用されているという分析も出ている。 これは「自社サイトを良くすること」だけでなく、周囲にどう語られるか——SNSや他のプラットフォームでの言及(サイテーション)も引用に影響する可能性を示唆している。
ただ、この実験で見えたのは別の可能性でもある。 大手がまだ回答していない問い、自分だけが観察できるデータ、小規模事業者だからこそ持てる具体的な文脈——こうした固有性が、被リンクゼロのサイトでも引用候補に入る条件になり得る。
一方で、量産や模倣でこの効果を拡張しようとすれば、Googleのガイドが警告するとおり、その恩恵は失われる可能性が高い。
同じアプローチを試すなら
この実験を参考にして、自社の引用可否を確かめたい場合、以下の順序が現時点での最短経路だと考えている。
- 指名検索を複数プラットフォームで試す(シークレットモード推奨)。まず自社名が認識されるかを確認する。
- 自分だけが観察・計測できるデータを問いの形に変える。大手が答えていない、固有の問いを設計する。
- その問いへの答えが明示された記事を書き、Perplexityで試す。引用されれば、その問いは有効だった証拠になる。
次のステップへ
Perplexityが第3回記事を引用した際、具体的にどの段落・どの数値が使われたのかは、まだ特定できていない。
次回は、引用されたページの内側を逐語的に照合する。 独自の観察をどう記述すべきかの型が見えてくる可能性がある。 スコアという出口からではなく、引用という事実から逆算する。その作業が次回だ。
