私はマーケティング支援の仕事をしているため、
外部のマーケティング講座や記事をチェックすることが多い。
特に最近は、
「AIを使ったマーケティング分析プロンプト」
のようなものが紹介される機会が増えている。
実務で使えるものがあるかどうか、
気になったプロンプトは、なるべく一度は実際に試してみることにしている。
ちょうどその頃、
ある企業のマーケティング支援で、
「初めてメルマガを立ち上げる担当者」
の相談に乗っていた。
メルマガ配信ツールを導入するにあたり、
を考える必要があった。
そこで、ある講座で紹介されていた
ペルソナ生成プロンプトを試してみることにした。
プロンプトの詳細はここでは省略するが、
大まかな流れは次のようなものだった。
いわゆる、
検索ユーザーの人物像をAIに作らせる
タイプのプロンプトである。
AIはすぐに回答を出した。
例えば、検索キーワードとして出てきたのはこういうものだった。
さらにAIは、それらを検索意図ごとに整理してくれた。
例えば、
ノウハウ系
比較検討系
コスト検討系
かなり綺麗に整理されている。
さらに、
それらを検索するユーザー像として、
などの人物像が提示された。
一見すると、
かなりよくできたマーケティング分析
のように見えた。
ここで、ふと手が止まった。
私はこう思った。
これは、本当に分析なのだろうか?
出てきているキーワードは、
確かにそれらしい。
しかしよく考えると、
すべて推測である。
Search Consoleでも
広告データでもない。
検索ボリュームのデータでもない。
AIが、
インターネット上の一般的な知識をもとに
それらしく生成したものだ。
つまりこれは、
データ分析ではない。
いわば、
「それっぽい仮説」
である。
さらに、もう一つ違和感があった。
AIの回答は、
非常に綺麗にまとまっていた。
しかし、
綺麗すぎた。
引っかかりがない。
どこから手をつけるべきか、
決められない。
それぞれは正しそうなのに、
戦略が浮かんでこない。
少し整理してみると、原因ははっきりしていた。
AIが出してくるのは、
つまり、
インターネット上の平均値
である。
しかしマーケティングの意思決定とは、
どこを攻めるかを決めることだ。
そしてそれは同時に、
何を捨てるかを決めることでもある。
ところがAIの出力は、
すべて平均点。
すると、
捨てられない。
結果として、
判断が止まる。
これが、
AIの答えが判断不能になる構造
だった。
AIの回答は、そのままだと判断が止まることが多い。
そこで私は、次のような順番でAIを使うことがある。
①生成
まずAIにキーワードを出させる。
これは、
材料集め
である。
②解体
次にAI自身にこう聞く。
例えば、
これは、
AIが出した
「完璧な平均値」
というメッキを
少しずつ剥がしていく作業だ。
こう質問すると、
AIの回答は
絶対の正解
から
仮説
に変わる。
ブラックボックスだった答えが、
構造として見えてくる。
③評価
その上で、評価軸を与える。
ここでのポイントは、
人間が評価するのではない。
推論したAI自身に、
自分の回答を評価させる。
例えば、
こうしてAI自身に説明させると、
ただのキーワードリストだったものが
優先順位のある判断材料
に変わる。
④判断
ここで初めて、人間が判断する。
例えばこうだ。
「多少リスクはあるが、
自社の強みが活きる
このニッチなキーワードから記事を書こう」
こうして、
実務としての
GOサイン
が出せる。
AIを実務で使うと、
次の三つの問題にぶつかる。
拡張
↓
停止
↓
判断
AIは拡張が得意だ。
整理すれば、
拡張は止められる。
しかし最後に残るのが、
判断
である。
今回のログは、
AIの完璧な平均値が
判断を止めてしまう
という構造だった。
次回は、AIの回答に差分を作る方法について、
もう少し実験ログを書いてみようと思う。