0|実験ログ:違和感を確かめようとしただけだった あるクライアントのビジネスコンセプトについて、 企画書の構成案をAIと一緒に検討していた。
スキーマを入れてAI検索に出た——でも、実際に効いたのは別の要素だった
「効いたかは、これから」と書いたので、測ってみた
前に、FAQをスキーマで入れてみた話を書いた。入れることはできた、正しく入ったことも確認できた、でも引用が増えたかはまだ分からない——そういう、途中で止まった記録だった。効いたかどうかを言えるようになったら、また書く、と自分で書いた。
なので、しばらく置いてから測ってみた。これはその続きで、やっぱりn=1の観察だ。うまくいった話とも、失敗した話とも、少し違う結果になった。
先に言っておくと、「動いた」。ただ、動かしたのはたぶんスキーマではなかった、というのが今回の話の中身だ。
まず、前と同じ聞き方で投げてみた
測り方はこうだ。スキーマを入れてから、AI側がページを読み直すのに時間がかかると見ていたので、数日置いた。そのうえで、GoogleのAI検索とPerplexity、両方のチャット窓に、入れる前に投げていたのと同じような問いをもう一度打ち込んで、この記事が答えの参照元に出てくるかを見た。ついでに、普通のGoogle検索でこの記事が何位にいるかも確認した。特別な道具は使っていない。誰でも同じことができる。
結果は、ほとんど変わらなかった。前に引用されていなかった問いは、スキーマを入れた後も引用されない。同じような問いを言い換えて何度か試したが、この記事はやっぱり出てこなかった。
正直、少しがっかりした。入れたのに変わらないのか、と。この時点では、前回うっすら予想していた「変わらないかもしれない」のほうに転びそうだった。

聞き方に、狙っている読み手を入れてみたら
ここで、聞き方を少し変えてみた。
この記事は、もともと「BtoBの小規模なサイト」の人に向けて書いたものだ。それなのに私が投げていた問いは、その相手が誰なのかを一言も入れていない、一般的な聞き方だった。そこで、問いのあたまに「BtoBの小規模サイトが」という言葉を足して、投げ直してみた。狙っている読み手を、そのまま問いのなかに入れた、という感じだ。
そうしたら、今度は出た。
まず普通のGoogle検索で見ると、さっきまで上位にいなかったこの記事が、4位まで浮上した。別の似た聞き方では1位になった。そしてPerplexityでも、この記事が参照元のひとつに入った。前と後で、はっきり違いが出た。
動かしたのは、たぶんスキーマじゃなかった
ここが今回いちばん考えたところだ。
素直に読むと、「スキーマが効いた」と言いたくなる。でも、たぶん違う。私がスキーマを入れてから変えたのは、問いの聞き方だけだ。同じスキーマのまま、聞き方を変えた瞬間に出た。だから、動かした直接の引き金は、スキーマではなく問いのほうだったと考えるのが自然だ。
起きたことを順番に並べると、こう見える。問いを記事の中身に噛み合う言葉にした。すると普通のGoogle検索でこの記事が上位に浮かんだ。そして、その検索の結果を強く見ているらしいPerplexityが、そこから拾った。——スキーマではなく、「問いが記事と噛み合ったこと」と「検索で見つかるようになったこと」で、ひととおり説明がついてしまう。
ではスキーマは効かなかったのか、というと、それも言えない。今回は、問いを変えるのと同時に検索順位も動いてしまったので、スキーマの分だけを取り出して測ることができていない。効いた証拠も、効かなかった証拠も、今回は手元にない。そこは正直に、宙ぶらりんのまま残しておく。
検索で1位でも、AIに出ない場面があった
もうひとつ、面白いことがあった。
さっき、別の聞き方ではGoogle検索で1位になった、と書いた。ところが同じその問いで、GoogleのAIによる回答(AI Overviews。検索結果の上に出る、AIがまとめた答えのほう)には、この記事は出てこなかった。検索では堂々の1位なのに、AIの回答には入らない。
これは、よく言われる「検索で上位でも、AIには引用されない」という話を、自分の目で見た瞬間だった。ただ、Perplexityのほうは検索に連動して拾ってくれたのに、Googleの側のAIは1位でも拾わない。同じ「AIに引用される」でも、AIによって事情がずいぶん違うらしい。
AIによって、検索とのつながり方が違うらしい
ここまでを並べてみて、こういう見立てが立った。AIといっても、普通の検索とのつながり方が、どうやら同じではない。
Perplexity:検索の結果を広く拾っているように見える
Perplexityは、普通の検索の結果を広く拾っているように見える。だから、問いと噛み合わせて検索で見つかるようにしてやると、そこから拾われる余地がある。今回、検索順位が上がった途端に引用されたのは、そういうことだと思う。
これは私の一度きりの観察だけの話ではなさそうで、他の人の大きめの調査でも、Perplexityは主要なAIのなかで検索上位との連動が一番強い、という報告があった。私が見たこと(検索で浮上した途端に拾われた)と、方向は同じだった。もちろん私のはn=1なので、それで裏が取れたとは言わない。ただ、そう外れた見方でもなさそうだ、とは思えた。
GoogleのAIの回答:上位の記事を、さらに「何か」で絞っているように見える
一方、GoogleのAIの回答は、少し違うふるまいに見えた。
これも私の感覚だけの話ではなく、いくつかの調査で近いことが報告されている。GoogleのAIの回答が引用している記事のうち、検索で上位(上位10件)に入っているものは、だいたい半分前後だという。調査によって数字には幅があるが、複数の調査がおおむね「半分くらいは検索上位から来ている」という方向で一致している。
この数字は、二つのことを同時に言っている。ひとつは、検索上位はAIの回答に出るための有力な入口だ、ということ。実際、出てくる記事のかなりの割合が検索上位から来ている。でももうひとつ、裏を返せば残りの半分は、検索上位に入っていない記事だということでもある。つまり、検索上位に入っていれば出る、というほど単純ではない。
ここから、私の見立てはこうだ。GoogleのAIの回答は、検索上位の記事を有力な母集団にしつつ、そこからさらに何かの基準でふるいにかけて、多くを落としているように見える。私の記事は検索で1位まで行ったのに、そのふるいで落ちた、ということなのかもしれない。その「何か」が何なのかは、今回の観察だけでは分からない。
こう考えると、ちぐはぐに見えた二つのこと——「検索1位でもAIの回答に出ない」と「AIの回答に出るものは検索上位が多い」——が、同じひとつの絞り込みとして説明できる。母集団は検索上位寄り、そこからさらに絞る。だから、上位なのに落ちるものもあれば、出るものは上位が多い、という両方が同時に起きる。
結局、戻ってきたのは「どんな問いとして当てに行くか」だった
前回の記事の最後に、私はこんなことを書いた。すでにある記事に後からFAQをつけるのは、本当は順番が逆で、本来は「客がどんな問いを立てるか」「その問いに自分だけが答えられるか」を先に決めるのが筋なのではないか、と。
今回測ってみて、そこに戻ってきた気がする。
この記事が拾われるようになったのは、スキーマを足したからというより、狙っている読み手を問いに入れて、記事の中身と問いが噛み合った瞬間だった。しかもこれは、単に「客が使いそうな言葉をタイトルにコピーすればいい」という話ではない。今回うまくいったのは、この記事がもともと、その問いに自分なりの答え(自分で試した記録)を持っていたからだ。中身のない記事に客の言葉だけ被せても、たぶん同じようにはならない。私がやったのは、答えをすでに持っている記事を、その答えを探している人が見つけられる入口に、置き直しただけだ。
言い方を変えると、少なくともPerplexityのように検索と連動するAIでは、問いを起点にして——問いと記事の中身を噛み合わせて検索で見つかるようにすると、拾われる余地はありそうだ、ということになる。「検索で上位でもAIには出ない」と一括りに言われるけれど、今回見た限り、それはAIによる。検索の結果を強く見ているAIと、そこからさらに絞るAIとでは、話が別なのだと思う。
だから、小手先で問いをタイトルにはめ込む、という話にはしたくない。効いていたのは、たぶんスキーマでも、言葉の小細工でもなく、その記事を「どんな問いに対する答えとして差し出すか」を、ちゃんと自分の中身に合わせて選べたかどうか、だった。もし自分がこれから何かするとしたら、新しい小技を足す前に、手持ちの記事が「誰の、どんな問いへの答えなのか」をもう一度見直すところから始めると思う。結局、前回の宙ぶらりんの続きは、そこに落ちた。
正直に残しておく留保と、次に測ること
いつも通り、言い切れないところを残しておく。
これは一回きりの、n=1の話だ。問いを変えるのと検索順位が上がるのが同時に起きたので、どちらがどれだけ効いたかは切り分けられていない。スキーマの効果も、単独では測れていない。Perplexityで試したときは履歴を消した状態にしたけれど、私が日本から日本語で聞いている、という偏りまでは消せていない。だから「誰がどこから聞いても同じ」とまでは、とても言えない。
このうち「スキーマの効果を単独で測れなかった」という宿題は、次に持ち越すと決めた。今回は問いを変えるのとスキーマが同じ記事に乗っていたから混ざってしまった。だとしたら次は、スキーマを入れていない別の記事で、今回と同じように「狙う読み手を問いに入れる」操作だけをやってみればいい。もしそちらでも同じように動くなら、今回動いたのはやっぱり問いのほうで、スキーマはあまり関係なかった、と言える。逆にそちらでは動かないなら、スキーマにも何か役割があったのかもしれない。比べる相手を一つ用意して、はじめて切り分けられる。次はそれをやる。
それでも、今回ひとつだけ手応えがあったのは、「効くかどうか」を測ろうとして始めたのに、結局いちばん効いていたのは道具ではなく問いのほうだった、という発見だ。あわせて、サイト全体で「これは誰が書いているものか」を伝える情報も、これから足してみようと思っている。それはまた、測れたら書く。
入れた。確認できた。測ってみた。動いた。でも動かしたのは、たぶんコードじゃなかった。——今回はそこまでの記録だ。